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【深淵オーディオ】(7)LM1875複合アンプの比較試験をしました

‹ 2024/08/21 ›

こんにちは、お待たせしました。

いよいよLM1875複合アンプを使ったオペアンプ比較試験をします。楽しみですね!!

早速ですが、今回測定に使う機材も自作M5Stackオシロがメインですから、適当な計測機材でただ自作アンプを試験したとして、なにも評価できません。

そこで、リファレンス機材も一緒に計測して、大雑把でも相対的な指標を得ようと思います。

で、参考アンプに『FX-AUDIOさんのFX-2020A+CUSTOM』を用意しました。

12V電源で20W(4Ω)アンプですので、ちょいとぶが悪いですが・・・、まぁ比較には使えますので、これで。

機材を整理すると次のようになります。


計測機器

  • テスター:XEAST XE-702S
  • オシロスコープ:M5Stackオシロ
  • 音源:iPhone 4S
  • スピーカー:ONKYO D-052TX(8Ω)


高価な機材を用意せずともある程度、自作アンプの比較試験ができるのはとても良いですね!!


被験機器

  • Ref:FX-2020A+CUSTOM Ti(Direct) NE5532P Tripath TA2020-020
  • 1:LM1875 Composite Amp. NJM5532DD
  • 2:LM1875 Composite Amp. Ti OPA827
  • 3:LM1875 Composite Amp. Ti OPA2140
  • 4:LM1875 Composite Amp. Ti BB OPA1622
  • 5:LM1875 Composite Amp. Ti THS4601


2番、5番はシングルオペアンプですので2石可済み、それ以外は2チャンネルオペアンプ、Refは無改造品です。

FX-2020Aはトーンコントロールはオフで試験します。

測定

測定は(6)でお見せした通りの構成で、複合アンプはシングルL出力、パラレル出力のそれぞれを試します。


計測/条件と測定機材

  • 条件:1W出力
  • 無音時DCオフセット:XE-702S
  • 100Hz THD+N:M5Stackオシロ
  • 1.0KHz THD N:M5Stackオシロ
  • 5.0KHz THD N:M5Stackオシロ

現状でM5Stackオシロの測定範囲は1W程度が限界ですので、1Wのみ計測対象とします。


結果データ

測定中の画面は省いて結果をどんと。^^;

データのみですと分かりずらいかもしれませんが、しばし我慢で。汗

まず、参考データとしてTA2020-020の図を見てみますと、1KHz付近でTHD N 0.02%程度、高域側は酷いんですよね。

FX-2020 になって、この特性がどのようにカバーリングされているのかも興味が湧きます。

そして、頑張って張り替えたOPA1622・・・、DCオフセットが大変なことになってます。汗

既存基板からICを剥がして摘み直したからなのか、自作のDIP8化基板・・・、GNDかPADの問題のような気はしてます。

が、このまま計測を続けました・・・、壊れてもいいものがあると勇気が湧きます。^^;


評価グラフ

データを眺めてみますと、案外、簡易オシロでも相対的な評価を得られていると感じました。

全体的な評価は次のようになりました。


総評

  • FX-2020A と比べ、自作複合アンプは10倍くらい高品質な音
  • (FX-2020A は能率のよいデスクトップスピーカー向きだと認識できました)
  • 自作複合アンプは高速オペアンプのほうが相性が良い
  • (設計上THS4631に合わせてシミュレートしただけ結果が伴ったかと)

FX-2020A はメーカーなどの計測ですと0.02%くらいでてますので、5倍くらい悪い結果なのはチョイスした電源かもしれません。

最後に計測データのプロットです。

自作複合アンプのほうは、DCオフセットが小さいオペアンプですと、オペアンプの性能問わず0.004~0.006%当たりで非常に良い結果となりました。

複合化によってオペアンプの味わい差は吸収されがちになりますが、LM1875の性能を遥かに超える低歪が得られています!!^^

ちなみに、広域側が揃って0.008%になるのは、オシロのサンプリング数が足りない影響がでているからかと思います。

おまけ

計測データを見てると、FX-2020A が奇妙に見えてきました。

そこで、このアンプの回路予想をしてみます。

TA2020-020の性能に比べ、アンプのTHD+Nは音域全体に渡って滑らかになりました。

そして音圧は低域側に少し左肩上がりの傾向が見られます。

このアンプは、前段に2つのオペアンプを積んだプリメインアンプのような構成になっているかと思いますが、そのうち一つはトーンコントロール用オペアンプです。

そうしますと、この回路は前段オペアンプは単純な増幅用ではなくて、前後どちらかに高中域でカットするようなローパスフィルタを通した上、TA2020-020からの出力をより聴こえ良く補正している構造のような気がしました。

どうでしょう?