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【深淵オーディオ】(1) M5Stackで作る高機能オーディオアナライザー 仕様編:Popo AudioAnalyzer v2.0

‹ 2026/08/15 ›

こんにちは。Clarity連載は性能検査に差し掛かるところで間を挟み、過去の簡易オシロをグレードアップした自作測定器Popo AudioAnalyzer v2.0の説明をします。

(ええ、こちらも連載になりそうです・・・、汗)


ええ、ええ、これまで不要にしてたSR計測・・・、Clarityではこれを見たいわけで・・・、なにせ出力負荷に対してSR≒250V/usの化け物ですから・・・、矩形波がキチンと出せるシグナルジェネレータが必須となります。


で、SRを追いかけて思ったんですが、特にアンプ、プリアンプなんかでは、速度を追わずともSRは見といたほうが確実に良いです。

理由は、SRを見る以前に矩形波を観察することになるからです。

矩形波は一見するとアナログ波形(音波)などに強く関与するようには思えませんよね?!


しかし、音響用途で正弦波ばかりを追っても、実は問題点の改修や品質改善に繋げられる視野は広がりません。

ところが、一歩戻って矩形波を眺めることで、その視野は10倍に広がります。

(この回の中断以降にこれに関与するヒントを載せてます。)


ということで、以前作っていたM5Stack Core2簡易オシロ、こいつの頭脳と手足を増やして、簡易オシロにSign/Pulse兼用シグナルジェネレータを搭載することにしました。


シグナルジェネレータを自作する訳

「シグナルジェネレータ持ってませんでした?」・・・(*A)

はい、持ってます、DSOのWave2を・・・、でもそれじゃダメなんです。><


「スマホのシグナルジェネレータアプリでだめなの?」・・・(*B)

はい、完全にアウトです。><


スマホ(iPhone)出力の矩形波は使いものにならぬ・・・ならぬものは鳴らね

ところで、アンプの基礎的な出力テストにiPhone等のスマホ使ってますよね?

私も正弦波(±1V、1kHz・・・など)のソース源としてアンプの波形再現性確認によく使っていますし、現に単一のサイン波のみであれば普通に使えます。


では、矩形波はどうなるでしょうか?

下図は、iPhoneアプリからの生成周波数を直接オシロプローブで観察したものです。



オシロスコープ画面のFreQと波形を見比べてください。

左から1kHz矩形波、4kHz矩形波、4kHz正弦波となっています。


矩形波は完全にアウトです。汗

1kHzでさえ立ち上がり立下りとも遅く、4kHzに至っては酷く丸まり正弦波に近づいています。


「これはどういうことなのか?」と思いますよね。

理由は後廻しで答えを先に云いますと・・・。


スマホアプリで矩形波を生成してもハード的にダメなんす。


出力に音楽信号再生ルートを通りますからね。

途中経路には、LPF(ローパス・フィルタ)があるでしょうし、カップリングコンデンサが付いてるかもしません。

加えて出力SRはClarityとは比べ物にならないくらいに遅いでしょう。

(三桁丸ごと遅いくらい、汗)


結局、スマホアプリの矩形波は検査用には使えません。


簡易計測器DSO Wave2でもダメなのか?

こちらは行けるといえば行けるのですが・・・、使い勝手が悪い、生成信号にノイズが多いという点で採用見送りしました。

では実体を見ていきましょう。



まず、Wave2のいいところ。

波形は正弦波、矩形波を含み4、5種ほどあって十二分、出力チャンネルA、B二系統に個別設定ができます。

DIYで可聴範囲程度の波形を生成したいという点では、使える範囲の性能です。


が・・・、波形が余り綺麗ではありません。

正弦波は崩れかけていますし、矩形波には立上がり・立下り共に振幅20%相当のオーバーシュートが見られます。


アンプはそもそも音楽用ですし、矩形波処理に常用してるわけでもありません。

余りに急激かつ強い刺激をあたえると、損傷にもつながりかねません。

20%大のオーバーシュートを含む矩形波を突っ込むのは危険ですよね。


そして何よりなのですが・・・、今回の利用目的からしてUIが使いづらかったです。

おかげで誤波形をClarityに入力してしまい、Pull側パワーQを飛ばしてしまう事故に見舞われました・・・。泣


ということで、今回の目的ではDSO Wave2での生成波形は使いません。


音楽再生機と矩形波の関係

さて、矩形波ジェネレータとしてiPhoneを不採用とした理由について、少し理解を深めてみます。





この図は、Illustratorで10次精度のスクリプトで矩形波を演算出力したものです。

上の波形は求めたN=10矩形波、下はその基本波+高調波を単別して描画しています。


矩形波はフーリエ級数で表すことができる基本波と奇数高調波の正弦波合成であることが分かっています。

図のように単純に表した式は次のようになります。


W(f) = f + 3f + 5f +・・・


そうしますと、iPhone生成で崩れた4kHz矩形波はどうなっているでしょうか。


W(f) = 4kHz + 12kHz + 20kHz + 28kHz + 36kHz +・・・


「ぬおっ!!、あれあれ~?」

さて、お気づきになりましたでしょうか?


そうなんです・・・、矩形波を出力するということは、必ず含まれる高調波も出力するということになります。

iPhone側からしますと、そもそもハード的にまともな矩形波を出す設計はしてないのです。

一口に高調波と云えばTHD悪化の主たる根源、音楽信号用の出口からそんなものが出力できる民生の市販品を作る方が滑稽となります。


演算図は10次までの精度であの程度ですので、20kHz辺りからiPhoneのLPFが効いていると考えて今一度写真を見直してみます。

どうでしょう?

今度は1Khz(19次)、4kHz(5次)の実際の崩れ写真が何となく想像の通りに見えるようになったかと思います。


そして、鋭い方はもうひとつ、矩形波を追えばカットオフ周波数が何となく見えてくることに気づいたかもしれませんね。


仕様

さて、図りたいSR、必要な矩形波についてどういう仕様で準備すればよいか見えてきたかと思います。

この辺りで、Popo AudioAnalyzerの仕様を決めてみます。


オシロスコープ機能

機能レベル:簡易、Vpp、dBu等のインフォメーションあり

波形表示:リアルタイム、等倍、x2、x4対応

FFT表示:リアルタイム、基本波自動検出あり

周波数特性:スイープ3回記録対応

THD(N):簡易評価


シグナルジェネレータ機能

出力周波数:100Hz~96kHz程度

波形タイプ:サイン波、矩形波

切替:オンライブ対応


共通機能

ベース:M5Stack Core2

入力:アナログ入力 1ch G36(ADC and I2S)

出力:アナログ/デジタル切替出力 1ch G26(PWM and or DAC)

追加電源:不要(M5Stack Core2電源で全て賄う)

ステレオ:オンライブ L/R切替対応

自己検査:生成シグナルを自己オシロで点検対応


どうでしょう、仕様だけぱっとみますと、そこそこ使えそうです。

M5Stack Core2のみで追加電源不要、波形、THD、SRが見えますし、シグナル生成も~96kHzまでこれ一つでできるとなれば相当便利です。


次回

どうでしょう、今回の自作AudioAnalyzerに興味は湧いてきましたかね?

自作やオーディオ機器にこだわりある方は、矩形波も見られるようになりますと、グンと色域あがりそうですよね。


次回は、Popo AudioAnalyzer 回路編になります。

お楽しみに♪