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【深淵オーディオ】(2) External回路編 M5Stackで作る高機能オーディオアナライザー:Popo AudioAnalyzer v2.1

‹ 2026/09/17 ›

こんばんは。しばらくぶりになりました。

この間何をしていましたかと云いますと、Popo AudioAnalyzerの機能の充実と高信頼性化を施してました。


結果として、今現在Popo AudioAnalyzer v2.1にグレードアップし、オーディオアナライザとして必要な機能のほぼ全てを網羅した恐るべき高機能アナライザに進化しています。

ということでして、このシリーズ自体が大分濃密な連載になるのが確定しました。汗


External回路

では、早速ながらExternal回路の紹介をします。

これがないとPopo AudioAnalyzerが動きませんので、実質的なメイン基板と云ってもよいものとなります。



プローブ信号入力回路

左側、M5Stack Core2 G36(ADC)へのプローブ信号入力回路となります。


M5StackのSOCはESP32、その仕様に合わせ入力信号をADC 0~3.3Vの範囲に収める必要があります。

対して被検査信号はオーディオ信号になりますので、当然ながらプローブ検出電圧は正負となります。


そこで、M5Stackの3.3VOutから電圧半分圧(R1/R2)でプルアップしてG36に送り込む電圧バイアス回路が必要となります。

また入力信号は、最大でも±1.6Vが限界点となりますので、プローブはこれを考慮して用意する必要があります。


R3はプルアップ分の電流値を決める抵抗となります。

RInserとの関係を鑑み、信号電流に対しM5Stack 3.3V電源側が決して優位に立たないように抵抗値を決定する必要があります。

ここでは100kとなりました。


RInserは入力信号の電流制限用となります。

例えばなのですが、同じような振幅(±5V、似たようなゲインを持つ)のヘッドホンアンプが2種類あったとします。

このうちひとつは32Ωヘッドホンで聞くのがやっとやっと、もう一方は32Ω~600Ωまでガンガン鳴らせるアンプだった場合を考えます。


この2者、どちらのアンプも同じヘッドホン32Ωに対し±1V出力を行ったら同じパワーでしょうか?


「え?そうじゃないの?!」

と思ってしまった方・・・。

もしいらっしゃったら、ぜひこのシリーズを隅々まで全部網羅して頂きたい候補者さまになれます。汗


で、結果は同じにはなりませんね。

「同じ負荷に同じ電圧、オームの法則通りでは?」

と思ってしまってはいけません。


ま、そんなことで、ひとつはM5stack側の過電流防止のため。

そしてまた別に、プローブ側はアンプへの負荷を限りなく小さく見せ、アンプ若しくはヘッドホンなどの負荷性能試験の真性を担保する必要もあります。

計測したいのはアンプもしくはスピーカーですので、R3との兼ね合いを考慮し、ここでは10kをチョイスしています。


信号出力回路

右側、こちらはM5Stack Core2で生成する各種信号をG26(DAC)経由で出力するシグナルジェネレータ出力回路となります。

G26から出力されるアナログ波形も0V~3.3V程度の正電圧で出力されます。


ここで一度DACに通すべき信号について考えてみます。デジタル段階では最小0~最大値の振幅を作りたいですね。

そうしますと、DACが出力するアナログ波形はDCオフセット1.6V、振幅1.6Vの波形となります。


また、今回生成するシグナルには単一正弦波やそのSweepだけではありません。

オーディオ信号或いはその機器の高機能なアナライザとして必要な信号には、そのほか最低限IMD、矩形波も必須となります。


オフセット1.6V付き最大3.3Vって、デリケートなアンプの入力には相当ヤバい電圧になります。><

特に矩形波に間違いがあったら、一撃で検体装置を破壊しかねません。


そこで万一の事故を考慮し、まずはADCとは逆の流れプルダウン(R4,R5分圧)をします。

これで、最大でも1V程度の振幅に治まるように調整します。

ここでは、後述の兼ね合いと1Vでも怖いので、±0.8V振幅を目途に、R4,R5共に510Ωを選択しました。


また、振幅がアンプの許容範囲に収まっても、DCオフセットが1Vもあったら、これもアウトです。

そこで、出力にカップリングコンデンサC2を添えます。


特に、このC2については、矩形波も主力として出力したい場合に、その種類とキャパシタンスを吟味する必要があります。

理由は単純で、コンデンサの性質上DCを排除してクリーンなACを作るという事なのですが、綺麗な矩形波にはこれがアダになります。


「え?DCオフセットが無くなるだけじゃないの?或いはカットオフが出てくるくらいでは?」

はい、そうなのですが・・・。


それ以外に余計な仕事までしてくれます。汗

実はキャパシタ、クリーンなACを作るついでに矩形波を丸める作業までしてくれます。><


そうなんです・・・、矩形波が丸くなったら、過渡応答特性、SR計測ができなくなってしまいます。トホホ

てことで、ここはシミュレーションと実体回路のテストをして、適宜ベストチョイスをすることになります。

ここでは、電源用途くらいの一般的な電解コンデンサ、47uFとなりました。


(Audio用途のフィルムやESR等の特性が良い電解コンデンサは性能発揮し過ぎて、逆に使えません。)

(DCはカットするけど、ノイズも通しますよといった緩めのコンデンサをお選びください。)


次回

さて、今回の回路記事をみて、皆さんの中にはよく見るオシロの入力回路、シグナルジェネレータの出力回路を見ただけに感じた方もいるかもしれません。

また、深淵オーディオにしばらくお付き合い頂いてる読者の皆様は、これはきっと序章・・・、前提の回路の話だと薄っすら気づいた方もいる過もしません。


そうなのです、このExternal回路はPopo AudioAnalyzerに必要な最低限の初段の回路に過ぎません。


Popo AudioAnalyzerが要求する高機能とは何か?

単に波形やTHD(N)、SNR、DRを見るだけのセンシングは電圧波形を見るだけにとどまり、アンプの性能、負荷の性能の表面を伺い知るに留まってしまいます。

これはAudio機器ユーザには十分な指標かもしれませんが、機器の作り手としては必要な情報の半分も満たせません。


そうなんです、テスターや簡易オシロを触るだけでは見れないものとは、~電流とその波形、パワー、スペクトル、スペクトログラム~です。

電圧に加え、電流が見れるようになって初めて、アンプや負荷の本来の性能が見え、これの是正ができるようになります。


ということで、次回はPopo AudioAnalyzerの真価を発揮させるCurrent Probe Circuitの説明に入ります。

お楽しみに♪