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【深淵オーディオ】(3)Audio Analog Processing Unit(A2PU) Core RC 熱モデル編:PopoCFA Clarity ディスクリートオペアンプ DIY(自作)

‹ 2026/07/28 ›

こんにちは。PopoCFA Clarity 3回目はA2PUに進化したRC(Release Candidate版)のPCB実装をした上での初回説明、特に熱周りの解説をします。


少し間がありましたが、RC版を冠しましたのでね。

ええ、ええ、基本構造は完成、回路設計100%、PCB設計95%、筐体及び周辺回路90%くらいの達成度に至っています。

漸くではありますが設計はそこそこいいだろうということで、現在はClarity A2PUコアの基本特性検査と音質の追い込み調整をしているところとなります。^^


Clarity 2側面対応 A2PU コア化

さて、ClarityはそもそもPopoDACの音源を再現できるディスクリート オペアンプとして思考していたわけですが、ディスクリートなんでそもそもデカいってことと、思った以上に電気的作用と物理的作用(熱作用)に敏感で随分と苦労を重ねることになりました。


設計上オールSMDで進んでましたので、PCB形状、特に断面を見て二者の同時解決とオペアンプ仕様を残せる構成として、PU化・コア化することで両得に叶う形状品質だというところに辿り着きました。


で、今回はまず、コア全貌と物理的作用(熱作用)のいなしに注目して話を進めます。


では早速PUコア外観です。


「どうでしょう~?」

かっこいいと思う!



とりあえず1Core(片チャンネル)のみ仕上がりまして、ステレオヘッドホンアンプになる手前、相方は空席、募集中となります。笑


1Coreのパッケージングサイズは、昔のPentium IIIか、最近のものだとCeleron Core Duoくらい、そして容易に割れる殻付き。

手作り殻で荒々しいところが、強そうなPUらしくていい。笑


Core Unit 3層熱結合

コアユニットの仔細のうち物理的作用(熱作用)の面から構成を説明します。



熱伝導の均質性と環境隔離のため、役割の違った上下2枚のプレートを使い、サンドウィッチ・シンク構成になっています。

この構成は単純に熱を逃がすためだけに実装されたものではなく、パーツを三層としそれぞれに明確な役割を付与して構成したものとなってます。


PCBサーマルプレーン:表面SMD実装及び主要ライン、裏面+V、ーV デュアルサーマルプレーン(左-Vプレーン、右+Vプレーン)

ヒートスプレッダー:裏面2Core共通、及び筐体に熱結合

ヒートシンク:表面Core単位(必要によって積み上げ式)


期待出力(ClassA)の電力算出

なぜ、熱に対する役割の明確化と強靭化をしたのかと云いますと、使用頻度の高い30~300Ωヘッドホンに対し、オペアンプ様のClarityに求める性能としてClass AB強~Aを安定期待しているからとなります。


最もよく使っているK701ヘッドホン66Ω(公称62Ω)でClassAを維持して聞きまくりたいという所望に応えることを考えます。

電源電圧±16V、設計最大スイング±3.4Vとして、必要な出力を算出してみます。


ヘッドホン出力(A2PU Q)

Vpeak = 3.4V

Ipeak= Vpeak / Rload = 3.4 / 66 ≒ 52mA


Clarityは出力段PP(Push-Pull)構成ですので、上下Qが理想的に機能する前提でクロスオーバー歪がでないバイアス電流は次の通りです。


理想Ibias >= Ipeak / 2 ≒ 26mA


ただ、現実的にはDCオフセットや出力段Qの非対称性や熱ドリフトによって、出力が片側に傾くことが普通に起こります。

(実際にPCB実装試験でも起きました、泣)

やはりQ単体が担当するIpeakは次の範囲を考慮する必要があります。


Class A Ibias_range ≒ 26mA(Imin) ~ 52mA(Imax)


出力段消費電力(A2PU コア)

では今度は出力段の消費電力を見てみます。


Vs = 16V

Pdc = 2 * Vs * Ipeak = 2 * 16 * 0.052 = 1.66W


K701 ClassA出力に必要なコア出力段の電流は約104mA(52mA * 2)ですから、コア出力段だけでも消費電力1.66Wは食います。

なんだかヤバい匂いがしてきました。


出力段電力(A2PU Q)

Pqmax ≒ Vs* Ibias(Imax)= 16V * 0.052 ≒ 0.83W 

Pqmin ≒ Vs* Ibias(Imin) = 16V * 0.026 ≒ 0.42W 


Clarity出力段PPの上下Qは、それぞれ最大0.83W、理想0.42Wで消費することになります。


熱量計算

では、必要な電流、電力は見えてきましたので、出力パワー段Qの熱処理を考えます。

使うのはMPT3(SOT-89)に決定しています。


ローム社さんの「トランジスタパッケージ熱抵抗一覧」を見ると、一層載せ追加サーマルプレーンなしでRthJA 250℃/Wとあります。

環境温度25℃(Ta)での熱量を考えてみます。


Tj = Ta + Pq * RthJA

Tjmax = 25 + 0.83* 250 ≒ 233℃

Tjmin = 25 + 0.42 * 250 ≒ 130℃


「あちっ、相当ヤバいっすね!」

はぅ。汗


Qの最大許容温度が150℃くらいですので、軽く限界突破しています・・・。

オデッサ作戦以来の灼熱地獄・・・。


これはもう、まずはガッツリ放熱しないと、そもそもClassAでヘッドホンを堪能できません。泣

(だんだん不安になってきました、汗)


アイドル電流の算定

さて今度は、K701ヘッドホンの能率性能面から電力関係を見てみます。


実際の普段聞きでK701ヘッドホンを連続的に最大出力で再生することはまずありません。

どんな電力量が必要となるのか、視聴音量から探り出していきます。


AKGさんの現行K701の仕様が出ています。

公称インピーダンス = 62Ω(私のは66)

感度 (dB SPL/V @ 1 kHz)=105


結構感度いいみたいですね。


Vpeak = 3.4

Vrms  = Vpeak / sqrt(2.0) = 3.4 / 1.414 ≒ 2.4

SPL = 105 + 20 * log(2.4) ≒ 105 7.6 = 112.6dB


ついでながら、ヘッドホンのパワーも見ておきます。

Psp = 2.4^2 / 66 ≒ 0.087W = 87mW


最大200mWですので、Vpeak 3.4だと許容半分くらいでの出力なので、丁度いい当たりに見えます。

また、算出したdB SPLをみますと結構な大音量、Ipeak=52mAで険しい熱対策もありますので、少し絞ってみます。


Vpeak = 2.4

Vrms  = Vpeak / sqrt(2.0) = 2.4 / 1.414 ≒ 1.7

SPL = 105 + 20 * log(1.7) ≒ 105 + 4.6 ≒ 110dB


おっ、いいところ見えてきました。


Vpeak = 2.4V

Ipeak= Vpeak / Rload = 2.4 / 66 ≒ 36mA


おお~、大分熱量緩和できそうです!

電源電圧を±9~±16Vあたりで使えるように考えます。


Pq ≒ Vs * Ipeak = 16V * 0.036 ≒ 0.58W 

Tj = 25 + 0.58 * 250 ≒ 170℃


Pq ≒ Vs * Ipeak = 12V * 0.036 ≒ 0.43W 

Tj = 25 + 0.43 * 250 ≒ 133℃


Pq ≒ Vs * Ipeak = 9V * 0.036 ≒ 0.32W 

Tj = 25 + 0.32 * 250 ≒ 105℃


アイドル電流(Ibias=Ipeak)と見なし、先に算出したClassA Ibiasレンジにピッタリはまりますね。

まずは、26mA~36mAまでの電流幅(10mAトリム)で、3つの電源タイプに合わせてどの程度発熱制御ができるものか、実態試験をしてみるのが良さそうです。


A2PUの出力段アイドル電流幅:26mA~36mA

±16V電源時Pq:0.42W~0.58W

±16V電源時Tj:130℃~170℃


こうして考えてみますと、やっぱり市販の2chオペアンプ、あのサイズでとても素晴らしいですね。(関心)


PCBサーマルプレーンと背面ヒートスプレッダー

さて、目指すアイドル電流、熱損失はわかってきました・・・が、かなりの熱量と戦う必要があることが確定しています。汗


「出力を抑えてClassABで我慢しちゃったら?」

ん~、設計で踏ん張りたい!


やっぱりClassAが見える位置でコアを稼働させたいですよね。

また例えば、出力段が余りにも環境温に近し過ぎて、VASや電流源または入力段側のほうの熱の敏感さのほうが強めに効いてしまうと、こちらはこちらで非常に繊細な情報を扱いますので、これまた微妙だなと思うわけです。


これまでの検証で、まずは130℃~170℃を安全圏内に留める熱拡散・放熱の設計、対熱構成を整えれば、道が開けるところまで検討が付いてます。


そこで、熱拡散及び一定の放熱と熱均衡化のための役割として、PCB基板内のサーマルプレーンとヒートスプレッダーを用意しました。

また、サーマル処理のうち、ヒートスプレッダーを唯一のDual Core結合としているのは、2ch分のコア間熱均衡のためです。


そうすることで、筐体側への熱拡散もしやすくなりますし、万一ヒートシンクを追加するとしても形状選択しやすくなるだろうという考えです。


上面ヒートシンク

前述のものとは違って、こちらの主役は第一にコア単位のQ間熱結合になります。

その上で放熱も担当します。


2枚目の写真にPCB回路基板のフロント印刷が載っています。

Q15周辺回路はVBE Multiplier、バイアス電圧の安定化、オーバーヒート抑制、Q18、19がPP構成の出力パワーQ、R7、R8がそのRe(エミッタ抵抗)になっています。


ClarityはCFB回路を持ちますので、近しいところにスマートに配置し、熱に対しても最速で敏感に反応してもらわないと逝ってしまいます。

表面ヒートシンクは非常に大事な仕事をこなさなくてはいけません。


多くは裏面で熱を全域に馴染ませ大暴れを防ぎつつ、ここではチャンネル毎の微細熱の感度を上げと即応答に集中させる構成という分けです。


どうしてかと云いますと、最終的に音楽は左右両耳で聞き、時空間に広がりますので、細かな時間軸ではch毎に音は異なります。

そのため、コアは細かな時間軸ではL/R全く異なる仕事量(電力、熱量)で動いています。


他プレートがアイドル熱の多くを満遍なく均衡化しつつ放熱した上、音楽の流れに応じたCore単位の局所熱作用に対し、俊敏に応答をすることで曲進行、時間軸への安定性を上げる形に仕上げる必要があります。

そのため、表面ヒートシンクはコア間の熱結合はせず、コアの即応性に注力させる構造となります。


A2PU 1コア稼働実力

結果、音質はすこぶる上々、1ch状態でもPopoBVPPCでは聞こえなかった音を確実にとらえることができてます。

アイドル30mA弱で、3層構造のヒートシンクが上手く機能していることが確認できました。

表面ヒートシンクで体温くらい、裏面からの熱伝導で筐体裏は体温+1~2℃で安定させることができました。


また視聴で感じる範囲では次の通りとなりました。

(もちろん音源はPopoDAC)


・低域は非常に締りよく

・複写音による低域の増量感なし

・低域でさえ聞こえたと思った頃には音は過ぎ去る速度

・拍手の終わりが聞こえる

・雨粒が聞こえる、雨粒が塊りになった音も聞き分けられる

・静寂は深々

・1Coreでも楽器の分離が超明確

・全体を通して音量高めで長時間視聴も聞き疲れ、耳疲労感がほぼない


もはや当初の予定はクリア済み、更に一歩深いところに着地点を描けるレベルになってます。^^


「どうでしょう?のちの性能検査が楽しみになります!」


では、今回はここまで。

次回はRC版回路、電気的作用のほうを見ていきたいと思います。


お楽しみに♪