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【深淵オーディオ】(7) A2PU v2.5 DualCore PopoCLiPS活用、立上げ試験編:PopoCFA Clarity ディスクリートオペアンプ DIY(自作)

‹ 2026/08/08 ›

こんにちは。7回目、いよいよA2PUコアの火入れ式の回がやってきました。


さて、A2PUコアは 32.8mm × 37.8mm の小型SMD構成で、ディスクリートアンプとしては極限まで凝縮された設計になっています。

そのため、正常稼働、狙い通りの仕上がり性能とするには、手はんだ・ペアリング・DC調整・熱応答・暴走抑制・発振対策など、複数の難所を順番に突破する必要があります。


立上げ試験のツール

Clarityは小型化と攻めを求める仕様の故、全てが許容の範囲に収まらなければ、A2PUコアは一瞬にして素子破壊、基板は裂傷に至ります。

そこで、被害の最小限化、原因追及、性能確認の準備として、次のようなツールを用意しました。



安定化電源:PopoCLiPSか、±V供給可能なCCステップ式電流制限電源、汎用安定化電源

マルチテスター:少なくとも電圧、抵抗値、ダイオードテスト、コンデンサテストあればよい

素子テスター:個体検査、選別用、トランジスタ素性が判断できるもの


Clarityは正負電源を使うディスクリート構成ですので、立上げ試験用に最適化した安定化電源があると作業がグンと捗ります。

特に、CC動作モード(電流制限モード)は簡単に切り替えられ、電圧・電流メーターは正負毎に同時に確認ができ、尚且つ動作が俊敏であることが重要です。


それによって、熱結合を必要とする回路でトランジスタの温度追従の様子を確認することもできますし、万一熱追従が破綻している場合には一瞬で熱傷に至ることもあります。

一瞬間のメーターの動きや微動を見逃さず、正負の挙動差を判別できることは、素子の損失軽減と問題点の最初の洗い出しに大きく貢献します。


立上げ通電試験

ではまずClarityをPopoCLiPSに接続して、電源の初回通電試験をしてみます。

Core1は既に調整が終わってますので、正常コアサンプルとして参照しつつ、Core2の状況を見てみます。



さっそく大暴走

Core1と比べますと、Core2は±毎にアイドル電流過大、電圧が低下しています。

アイドル電流は、凡そ140mA(70mA *2)ありますので、完全にどこかが破綻してますね♪汗


さらに、CC90mAで実施した場合に短い時間で起こる電流メーター挙動を表現してみます。

電源オン~0.2秒間で50mA、ここで0.05秒程度留まり、続いての0.5秒間でCC限界点までググンと伸びて張り付くといった具合となります。


これ、PopoCLiPSを通してますので余裕で対応できていますが、CC(電流制限)環境下でなかったら一秒以内で熱傷・・・。

レッドカード、一発退場といった場面・・・、そしてその理由も分からずに作り直し・・・、ってことになるような挙動を示しています。汗


電流値は、±V共にほぼ同程度の過電流、中央ダイアル設定でCC60mA制限した状況で、CC限界突破し暴走してますし、また、メーターを電圧モードに切り替えてみますと、電圧がより降下しているのは左(プラス)側となっています。


続いて、この時点で出力DCオフセット値をみてみます。



DC +3.27V・・・、逝っちゃってます。汗


症状の整理

さて、PopoCLiPSでのCore2初回立上げ状況を整理してみますと。


1.CC限界突破する過電流

2.電源オン当初一瞬間だけ安定位置を見つけるがすぐにオーバーヒート

2.+V電圧降下

3.DCオフセット≒+3V


Core2の現状は破綻中、目に見える電気的な崩れは以上4点となります。


原因箇所の追及

まず疑うべき箇所は大きく2点、ここから原因箇所を探してみます。


1.ーV側の回路に問題があり、ほとんど機能していないため、+V側ネットワークに強く偏る

2.+V側の回路に問題があり、+V側のどこかで電流喰いが発生する


また、この段階ではヒートシンクは載せてないものの、CC電流制限はしっかりかけたままでのテストとなっていますので、恐らく素子故障には至っていないと想像しています。


ということで、まず素子の配置間違え、不良個体などがないか、一番怪しいQ廻りを全て調査してみます。

最初の調査として、トランジスタの順方向電圧(VF)をチェックしてみました。



青がCore1正常品、赤がCore2暴走中の結果です。

概ねVFのバランスは良いようですが・・・、んん?


Q10、Q14電流ミラーが明らかにおかしいですね。

順方向で0.68V、逆方向で0.63V、ここはNPN電流ミラーですが・・・、明らかに一方を間違えてPNPにしてるような結果が出てます。


ということで、Q10、Q14を外して素子テスターにかけてみます。



Q14を付け間違えてました・・・、苦笑


ところで、コンプリメンタリーとはいえ、大体PNPはhfe、vfとも低めに出てしまうものなのですね・・・。

DCオフセットがどうしてもねぇ・・・、ペアリングの苦労が絶えないです。><


不具合解消

Q14をNPNへ交換し、Q10、Q14を張り替えて、もう一度立上げ試験をしてみます。

「ふぉ?OKか?」

治りました。今回は簡単で良かったです。


初期設定の低トリムで±毎20mAちょっと、電圧降下もなく安定しましたので、引き続きDCオフセットの点検に入ります。



出力DCオフセットでー150.3mV・・・、まぁ安定はしてますが、Core1 -107.8mVと比較して50mVも多い。汗

設計許容±60mVよりも倍以上多いので気になりますが、最終的にDCオフセットは日常的に使うであろう対象出力負荷(ヘッドホンのインピーダンス)や感度側に合わせて、許容範囲を決めなおせます。


また、この結果はあくまでヒートシンク未搭載かつケーシング前のものですので、A2PUコアの外側回路(電源フォロー、出力フォロー)やGND処理、ケーシングによってもDCオフセット値は変わります。

(基本的には少しは良くなる方向に変わる)


信号処理試験

ということで、初回立上げ通電試験はクリアしたと見直して、作業は次の行程入ります。

次は、信号増幅、出力に関する機能面、性能面のチェックをします。


(1)最終見込みのDCオフセット

(2)基本サイン波(1kHz、±1V)入力試験

(3)矩形波入力試験・・・

(X)さらに続くはず・・・



瞬懐しました

「ごーん、瞬壊でした・・・とほほ、泣」

(3)をやり過ぎてしまいました・・・。

調子こいて、CCリミッタ解除して、1V矩形波4kHzまで入れたところでClarityが御亡くなりました。泣


故障個所の追及

今回は、やり過ぎ過電流、発熱暴走、瞬く間に熱崩壊でほぼ確定かと思います。

回路設計上、損傷個所はほぼ間違いなく出力段後段のパワーQ。

できれば片方損傷のみだとありがたい!


ということで、±Vどちらか(或いは両方)が短絡に近い問題を抱えていることは明白ですので、A2PUへの電源供給を停止し、(+V)ー(GND)ー(ーV)間の抵抗を確認してみます。




負側(-V)-GND抵抗値672Ω・・・。

(I=16/672≒0.024=24mA)


「はぅ、ーVレーンだだ漏れ・・・、泣」

まぁ、答えは十中八九Q19です。

Q19(PNP)を新品(2SA1797ってお高い)に変えて、再度立上げ通電試験からやり直します。><


復活

ふぅ、なんとか立上げ通電試験の最終項目DCオフセット測定まで辿り着きました。



「おお?おぉー」


損失Q19一枚、DCオフセットは初回より良好(ー115.8mV)になりました。^^

今回の測定はケーシング後でしたので、実質30mVくらいの改善かと思います。


まずは、Core1、2ともDCー110mV揃い組で、次ステージに進めそうですので、今回はここまでとします。


次回は、A2PU外回路・ケーシング編となります。

いよいよ、本体現るです。

お楽しみに♪