Recovery and restoration service:frontea online,corp.

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(3)ダイヤルピア計画:INSネットとCisco Voiceエンジニアリング

3回目で、Voiceネットワークの枠組みを決定するダイヤルピアの設計にたどり着きました。ダイヤルピアの計画が出来上がれば、いよいよ設定(コンフィグ)ができるようになります。

ここでは、前回(2)の目標を達成するためのダイヤルプランをパズル的図面で計画してみようと思います。

【ダイヤルプラン:コールレッグ】

Voiceネットワークは、データ通信と違い電話番号によりどのようなルーティングをするか決定します。電話番号は単純な数字の並びでのみ表現されますから、サブネットマスクなどの概念はありません。

そこで、ダイヤルパターンを文字列のような感覚で、基本的には、「アスタリスクあり、前一致」で探索するのが一般的なようです。

ちなみにこのようなダイヤルプランは、Ciscoではコールレッグという呼び名で探索するようです。また、コールレッグ探索ができるように設定はダイヤルピアというもので作り上げます。

このダイヤルピアの作成がパズルを作るようなものでしたので、ここでは、ダイヤル探索パズルといってます。

では例えば、携帯番号「080XXXXXXXX」からかかってきた電話をどう受けるか?どのようなダイヤルピアを作るか。

  1. 「.T」で、なんでも受けるところに繋げるピアを作成
  2. 080Tで、080XXXXXXXXの電話を受けるところに繋げるピアを作成

この場合は、より設定合致文字数の多いピア2が優先着信先(最初に呼び出されるされるコールレッグ)となります。

また、自己番号でダイアルパターンを指定するのか、それとも相手番号で指定するのか、ということもコールレッグの優先度に影響し、通常、着信は自己番号(Called Number)でコールレッグを作成して、優先着信ルートを優先探索するようです。よりピア作成の自由度・柔軟性があげられるということですね。

(恐らく、このようなピア設計は、PBXのほうがとても優秀で、今回は特にExpress版ですから、そんなダイヤル探索の一部でもISRで垣間見れるということに深い恩恵を感じます。)

ダイヤルピア作成はとても重要で、うまく構成できていないと、最終的にユーザ設定できないピア0に繋がります。「ピア0に繋がってしまうと、あとは電話機ではどのような受け答えもできなくなる」ので、こうはならないようにパズルを完成させます。

【ダイヤルパズル探索図】

さて、電話回線の物理ポート(BRI)から電話機に繋がるまでのダイヤル計画図面です。ネットワークスイッチの計画図とまた違いますね。これがルータでできる機能なんですから、とても面白いです。

【ダイヤルパズル探索の計画説明】

では、計画図を簡単に説明します。図面・説明の「定義とはダイヤルピア」と思ってください。

外線回線からダイヤルピアへ

  • ISDN回線からの音声は、音声ポートに接続されます。
  • ISDN回線着呼は、内線500へ直接繋ぎます。
    (DIDでは、Called Number識別ができますので、ダイヤル探索内で着信コールレッグ作成ができます。また、C1861は、iナンバー識別でもできる仕様のようですが、うまく動きませんでしたので、今回はこの直接接続にしてます。)

ダイヤルピア:外線着信

まずは、外線よりかかってきた電話を室内の電話機で着信できるようにダイヤル計画をします。簡単には外線着信は500番を使って、みんなの電話を着呼するという流れです。

  • 定義47、48を作成(内線番号500、優先度あり)
    ISDNは1回線2通話まで可能ですので、2通話できるように代表着呼を2つ用意しました。
  • 定義1を作成(内線番号501、追加番号500)
    501、500のどちらにかかってきた電話も受けるようにします。
  • 定義2を作成(内線番号502、追加番号500)
    同じく自己内線502のほか、500番も着呼可にします。
  • 定義1の電話機を(D1)に紐づけ
  • 定義2の電話機を(D2)に紐づけ

ダイヤルピア:外線発信

次に室内電話機から外線がきちんとできるようにダイヤルピアを作成します。DID契約でもないですし、発信プレフィックスはなしで簡易な設計をします。つまり内線番号に合致しない電話番号は、全て外線発信するという流れです。

  • 定義999を作成(発信ダイヤルパターン.T)
    ドットTは、1文字以上の電話番号を入力完了できたら発信するという意味です。
  • 定義999の接続先として、音声ポートを指定し、外線回線と接続できるようにする。

ダイヤルピア:着信自動応答

室内留守や回線ビージーの時に発信相手に音声ガイダンスをしたい場合、または、夜間帯設定として、自動応答したいときのために、アナログ電話機にこれを代行させようと思います。

  • 定義600を作成(内線番号600、接続先FXSポート1)
    内線番号600をTELポート1に繋いだアナログ電話機(B)で応答できるようにします。
  • 「定義47に転送設定を追加」します。
    無応答時、ビージー時など所定の条件で、(B)着信できるようになります。(B)は常に留守番設定ですので、転送された場合は、留守番案内を自動応答するようになります。

ダイヤルピア:着信SNR転送

SNR(シングルナンバーリーチ)は、主に内線番号に割当されたある個人のデスク電話があるとします。その個人が今は外出中の場合、上記自動応答ではなくて、その個人の携帯電話に転送したいときもあります。

そんなことで、内線番号に紐づく一対のモバイル電話番号を定義するのがSNRの役割のようです。

  • 「定義47にSNR設定を追加」します。
    ここでは、スマホの携帯番号に転送するようにしてます。

いかがでしょうか?ダイヤル探索図と説明で、なんとか、前回の目標達成のめどが立ちそうに思います。

C1861一台でここまでコール制御できそうだと思うと、やはり利便性と性能をしっかり持った機体だと感じます。RTA/RTVで描けなかったことが自由に描けるとは、今更ながら感心しました。

次回は、いよいよ設定(コンフィグ)に移ります。